2025年3月に読んだ本

・ビル・ミルコウスキー著 山口三平訳「マイケル・ブレッカー伝 テナーの巨人の音楽と人生」(DU BOOKS)
book2024.41
前回の「読んだ本」でも読書中として挙げた本。やっと読了した。

前途洋々だったマイケルがニューヨークで他のジャズマンにも拡大していた麻薬に一時はおぼれ、そこから自分の意志で更生プログラムを受けて復活し、他のプレイヤーたちへの影響を強めていく過程は印象的だった。
しかしそのマイケルが重篤なガンに罹患し、最後は白血病が回復不能なところまで進行してこの世から去っていくまでは悲壮だった。病状が重篤なのに、レコーディングには自力で立って演奏し、すさまじいまでの迫力でテナーサックスの音を響かせている。いま彼の末期のオ作品を聴いてみても、どこが病魔に冒されているのか音からはまったく分からない(当然だけど)。

以前にも書いたが、若いころ1回だけブレッカーブラザーズ(兄はトランペッターのランディ)のライブを五反田ゆうぽうとで聴いたことがある。マイケルのあらゆる活動をスプレッドシート上に落とし込んだ外国のウェブサイトを見たが、それでも決定的な証拠が見つからない(このサイト、いつのまにか内容が変わってしまった)。
一緒に行ったはずの友人に連絡を取ったが、彼も正確には覚えていないようだ。95年のライブアルバムの時であれば五反田のゆうぽうとでの録音だからいちばん理にかなっているのだが、その年だとコンサートに行くために長男をどこかのシッターに預けたことになる。そのような記憶はないと妻は言う。95年以前だとすると、五反田ゆうぽうとでのライブだと確証が持てる記載がない・・・
とにかく、マイケル・ブレッカーがアコースティックなテナーサックスと当時斬新だったAKAIのウインドシンセ(EWI)を持ち替えて実験的な音を出していたのだけはよく覚えている。

・武田 砂鉄著「テレビ磁石」(光文社)
book2025.05
「武田砂鉄のあのねちっこくて斜に構えた文章でテレビに登場する有名人を切りまくるエッセイ集」と前回書いておいたが、まったくその通り最後まで徹頭徹尾そのままだった。2018年から24年まで「週刊女性」に連載されていたコラムの再編集版である。
武田砂鉄をラジオでよく聴く(というか、砂鉄さんが出ている番組を狙ってよく聴いている)のだが、頻繁にラジオに登場してしかも書評委員などを担い、この本の内容のようにテレビの芸能人も追うという忙しさによく耐えられるなと思う。さらにヘビーメタルのロックコンサートに出かけたり、講演を各地で行ったりしている。40代前半とはいえ、疲れてしまわなければいいが・・

・石塚 真一著「BLUE GIANT MOMENTUM(4)」(小学館 ビッグコミックススペシャル)
book2025.10
ついに4巻まで来た。相変わらず大のジャズカルテットはニューヨークで貧窮にあえいでいる。
変わったことといえば、ニューヨーク郊外の家賃の安いアパートから、ハーレム(マンハッタン島の北部。ハーレムはトルコ語のハレムではなく、オランダ語のハールレム由来)の黒人コミュニティのど真ん中にカルテット全員で転居したことだろうか。そしてライブのオファーも少しは届くようになってきた。
しかし、大はメンバーを置いてサックスのコンテストに出場すべく、ニューヨークを後にする。今度は自家用車ではなく、長距離バスでセントルイスまでの移動だ。このコンテストで優勝すれば、大が有名になり、オファーも舞い込んできてメンバー全員が這い上がれるという目算だ。
マイケル・ブレッカーの評伝を読み、またジャズも聴くようになってきた。私が最近アップしているYouTube動画のBGMはすべてジャズである。何となくテンポの速いビッグバンドジャズ(ミシェル・カミロやマイケル・ブレッカーの兄であるランディも参加しているミンガス・ビッグ・バンドなど)はスキーの滑走に合うような気がするのだが、私だけかもしれない・・