2025東北縦断ソロツーリング⑤

雨から晴れへ

朝ホテルで起きたら外は激しい雨。線状降水帯が由利本荘近辺に日本海から到来してきているようだ。だが雨は長く続かず、朝8時頃には上がりそうだ。それを期待して準備を整え、雨雲レーダーと西の空が明るいことを確認して出発。まだホテル前の駐車場と国道7号の路面はわずかに濡れている。
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道の駅ねむの丘入口にて
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鳥海ブルーライン直前、山のすそ野が見えた

間もなく秋田県最南のにかほ市に入り、鳥海山が姿を現してきたので道の駅象潟ねむの丘で写真撮影。まだ山は遠いが、おそらく新山の山頂がわずかな時間だけ見えた。その後鳥海ブルーライン(秋田県道58号と131号、山形県道210号)を駆け上がる。いくつものカーブは見通しも悪くないが、標高が上がるにつれてガスってきた。これでは鳥海山を中腹から眺めることも難しい。鉾立山荘の駐車場に進入してみるが、どうやら天気はすぐに回復しそうにないし、雨が降るのもイヤなのでさらに先の大平山荘まで行ってみる。大平展望台からも下界を見ることはままならないので、諦めて下山する。
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雨降りそう・・

鳥海山こそベストの山

鳥海山は東北で最も優美な形をした山だと個人的に思っている。特に秋田側から見る鳥海山は左右の均整がとれていて、日本一美しい。山形側からは少し不均衡な形をしているが、どっしりしていてそれも味がある。標高は2236mあって尾瀬燧ヶ岳に次いで高く、東北を代表する山と見ていいし、独立峰なので他の山々と連なることなく孤高を保っている姿も美しい。日本海側に位置しているため、季節風が直接当たり、冬の気象は激しいが、その分大量の雪をもたらすことになる。残雪期も美しいし、その頃に山頂にスキーを履いて登り滑り降りる山スキーは格別である。急な斜面はなく、一定の斜度でどこまでも滑っていかれる。標高差900m〜1200mを滑れる山なのだ。もちろん、夏に登っても高山植物が豊富にあり、雪田も残っていてとても癒される。私はスキーで南面から稜線直下まで行ったのが最初で、今までに秋田県側の祓川からGWのスキーで1回、夏の登山で1回登頂している。実は少年たちと登山を試みて敗退したことも1回あるし、オフロードバイクで鳥海山麓東側の長大な林道(手代林道・奥山林道)を走ったこともある。郷里の北アルプスよりも鳥海山は好きなのだ。田植えの季節に庄内平野や由利本荘から見る残雪の鳥海山は見飽きることがないだろうと思う。
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雲の下に鳥海山の裾野稜線

庄内平野の南北縦断と月山道路

さて、さっさと下山してしまったが、これから晴れてくれば庄内を走っている間、左横に鳥海山が見えるポイントもある。なるべく人家の無い田んぼの中の道を選択したいので、吹浦・遊佐からは広域農道の「庄内こばえちゃライン」を使って南下する。「こばえちゃ」とは庄内弁で「おいでください」という意味らしい。この農道が直線的だが快適で、信号も少なく、庄内平野を南北に移動するには最短で移動できるのではないかと思われた。鶴岡市の藤島で国道345号と合流するが、羽黒山大鳥居の手前を横切って、庄内あさひIC近くで国道112号に合流する。あとは月山道路を走ればよい。国道112号沿いの道の駅「月山あさひ博物村」でトイレ休憩。昔の「六十里超え」の街道について少し資料があった。その先で自動車専用道路と合流して道がつまらなくなるので、以前春スキーの帰りに立ち寄った田麦俣集落の兜造り多層民家を見に行ってみる。田麦俣は山あいの小さな集落だが、わずかに2軒だけ兜造り多層住宅が残されていた。以前はもう少しあったような気もするが、勘違いだろうか。白川郷と同様の多層民家だが、茅葺きの屋根が独特なのである。素晴らしい建築物で、後世までこれが残ることを期待したい。
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田麦俣の多層民家(もう一軒は補修中)

再び国道にもどると、間もなく月山スキー場方面への道と分かれ、西川町が近づいてくる。国道を通っても自動車専用道路を通ってもほとんど変わらず、どちらを通っているのかもわからなくなってくる。ときどき、自転車、125cc未満の原付は通行不可という看板が出てくるのだが、自分が通っているところは自動車専用道ではないと思われる(以前車中泊した道の駅にしかわが左手に見えたから国道に違いない)ので、どうしてそのような車両が通行できないのか、どの道を通ったら自転車や小排気量二輪は通行できるのか、首をかしげたくなる。Googleマップなどで全体を見ていると旧道は出てこないが、拡大して狭い範囲を見てみると、国道121号の旧道らしきものは姿を現してくる。一番わかりやすいのは国道を赤色に彩色した地形図だ。田麦俣のあたりから延々と旧道はトンネルなしに延びている。その前後でも、どうやら旧国道から格下げになったと思しき道路は何となくわかる。大越峠、いやー、そそる道だなあ・・もうちょっとよく調べて旧道を走った方が楽しかったに違いない。残念だ。次回はここを通りたい。

国道287号で米沢へ

大江町のJR左沢駅近くを通って国道287号へ。8月初旬の南東北ツーリングで雨の中通った道を逆に走ることになる。ああ、この辺走ったなとか、この路側でレインウェアを着込んだなという感慨が湧いてくる。
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朝日町の太郎亭の鳥中華(肉蕎麦の出し汁)

もう昼だ。朝日町で蕎麦屋を見つけ、バイクを停める。店に入ると、すでに日本そばの麺は終わってしまったので、肉蕎麦のつゆで中華麺をお勧めする、と言われたので、一も二もなくそれに決めた。出てきたラーメンは日本そばの汁の味というよりは油が浮いた「中華そば」の、しかしあっさりした味わいだった。満足してバイクを走らせる。白鷹町、長井市、川西町を通過して、JR西米沢駅近くで国道121号に乗る。まずはコンビニで休憩して、国道121号を西へ向かう。途中で国道の方が右に曲がるので、そのまま県道234号を綱木方面へ詰めていくと県道2号と合流して道なりに進めば白布温泉だ。綱木集落へ向かう道もはるか以前、オフロードバイクで福島県側へ越えた記憶がうっすらある。県道2号はなかなか快適なワインディングロードで、そのまま白布峠で福島県境だ。

会津入りは白布峠から

峠の駐車場で少し休憩して、桧原湖北端に下っていく。県道64号に右折するところがややわかりにくかったが、何とか桧原湖の西湖岸を走り、道の駅「裏磐梯」を経て国道459号で喜多方方面へ下っていく。喜多方まで出る前に県道69号でショートカット。この県道も快適な県道で、あっというまに会津若松の町が近づいてくる。
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桧原湖の一番奥に雲に隠れた磐梯山

市街を南北に貫く国道121号沿いに宿泊するホテルはあるはずなのだが、道に面した商店街が残念なことに寂れていて、ホテルが道路に面しておらず有料駐車場の奥にあったので見落として100mほど南に行ってしまった。鶴ヶ城まで行ってしまっては行き過ぎ、くらいの認識しかなかったが、こんなにあっさり通過してしまうとは・・Uターンして、ホテルにたどり着いた。ルートインのようにオートロックではなく大きめの鍵を持たされるのだが、部屋は快適だ。部屋の洗面ユニットでシャワーを浴びて汗を落とした後、夕食を外へ食べに行こうと思って散歩を始めたのだが、周辺は日曜日で見事に飲食店がすべて休業している。右往左往してコンビニ飯にしようかと思い始めたところ、一軒の洋食屋を発見。だがプレートは提供されるものの、ライスもパンもディナーでは出ないとのことで、プレートのみの食事とする。クーラーも遠いので効きがよくなくて席を移らせてもらったり、水すら出してくれないのでだんだん居心地が悪くなってきた。食後、炭水化物が不足しているような気がしてならないので、コンビニで軽いパンを買い求めに歩く。と、道の反対側に吉野家発見。最初から吉野家にしておけばもっと安く食事代はあがり、そして何の不満もなかったのに!しかもバイクで夕方Uターンしたときにこの吉野家は視界に入っていたはずなのだ。大失敗である。

意気消沈してホテルにもどる。特にやることもないのでぼーっと過ごす。毎日ライディングで疲れていたので電子書籍での読書も進んでいなかったが、この夜は少しだけ読んでみた。ツーリング中はヒマなように見えて意外とそうでもないし、読書がツーリング中に進んだ試しはない。

さて、いよいよツーリングも終盤にかかってきた。明日は走行距離を半分に抑えて栃木県北部の別宅に行き、狭いホテルの部屋から少し広い部屋に行って洗濯やバイクの洗車をやっておきたい。その翌日に栃木から自宅までのいつもの半日ツーリング(約200km)で帰宅だ。